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虎の尾を踏む男達


脚本●黒澤 明
撮影●伊藤武夫
美術●久保一雄
音楽●服部 正
出演●大河内傳次郎/藤田 進/榎本健一/森 雅之/志村 喬/河野秋武/小杉義男/横尾泥海男/仁科周芳(現・岩井半四郎)ほか
1945年 東宝作品 58分

 黒澤監督にとって、唯一のミュージカル作品ともいうべき異色作。歌舞伎の「勧進帳」をもとに、大河内傳次郎を弁慶に、藤田進を富樫役に据え、しかも原作にはない強力を登場させて、当時人気絶頂だったエノケンこと榎本健一を起用するという贅沢さ。日本の古典芸能に興味をもっていた黒澤が、歌舞伎のパロディを試みた画期的な作品となった。
 敗戦後に完成したこの作品は、当時の内務部の検閲官が“古典を愚弄する作品”と批難し、占領軍に提出する報告書のリストから故意に除外したため、非合法な作品として長らく上映されなかった。しかし後に、GHQ映画部門の担当官がこれを観て絶賛し、上映禁止は解除。日本が正式に独立を回復した1952年4 月にようやく公開に漕ぎ着ける。
 原作の長唄の詞の一部を邦楽風の洋楽に作曲し直して合唱に使うという、黒澤の難題に見事に応えたのは音楽担当の服部正。音楽ばかりでなく様々な細部にわたり、黒澤監督の卓抜したセンスが溢れている。撮影現場を見学していた占領中のアメリカ軍将兵の中に、黒澤 明が敬愛する映画監督ジョン・フォードがいたというエピソードが残っている。。



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